年金FOCUS・NEWS

社会保障改革

最低保障年金の機能強化を盛り込んだ社会保障改革案がまとまりました

政府・与党社会保障改革検討本部は、社会保障改革の全体像と、財源確保に向けた税制抜本改革の基本方針を示す改革案をまとめました。成案には厚生年金の適用拡大などが盛り込まれています。政府は平成24年以降に国会へ法案を提出し、27年度までに順次実施することをめざしています。

現行制度を改善し、最低保障機能を強化

改革案では、子ども・子育て支援、若者雇用対策、医療、介護等のサービス改革、年金改革、貧困・格差、低所得者対策を優先課題として挙げています。

年金については、最低保障機能の強化と高所得者の年金給付の見直しをセットで行い、同一世代内での所得再分配の強化をめざすこととしています。

また、下表のような現行制度の改善点についても検討課題として盛り込んでいます。

厚生年金の適用範囲については、雇用保険と同等に週20時間以上労働で31日以上雇用される見込みがあるなどの人にまで拡大した場合、約400万人が新たに適用対象者となる見込みです。在職老齢年金については、現行制度が高齢者の就労意欲をそいでいるとの指摘があったことから見直しを行う方針です。

また、厚生年金の標準報酬月額の上限については、現在、健康保険の121万円より低く62万円で設定されているため、実質的に報酬の高い人の保険料負担率が低くなっています。このため、高所得者にも負担能力に応じた負担を求める考えから、上限引き上げの検討も予定されています。

2010年代半ばまでに消費税率を引き上げ

年金、医療、介護、子育てなど、今回の改革で必要になる公費負担額については、平成27年度において約3.8兆円を要するとの試算が示されています。ただし、制度の重点化・効率化で約1.2兆円の削減を図るため、差額の約2.7兆円が必要となる見込みです。

これらを踏まえ、社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げることが必要と明記しています。

雇用保険

基本手当の賃金日額等が5年ぶりに引き上げ

今年8月1日から失業者に対する基本手当(失業給付)を算定する際に用いられる賃金日額等が5年ぶりに引き上げられました。これは、雇用保険法の改正と平成22年度の平均給与額が21年度より約0.3%上昇したことによるものです。

基本手当日額の範囲等は、表(1)のとおりです。

表(1)基本手当日額の最高額と最低額

基本手当日額の最高額と最低額

基本手当日額の給付率は表(2)のとおりです。

表(2)基本手当日額の給付率

基本手当日額の給付率

また、60歳以上65歳未満で働く人の賃金を補完する高年齢雇用継続給付の支給限度額も引き上げられました。

高年齢雇用継続給付の支給対象となる労働者
の賃金限度額(支給限度額)の引き上げ
32万7,486円 → 34万4,209円

なお、高年齢雇用継続給付は、支給対象月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であるときは支給されません。また、支給対象月に支払われた賃金の額と高年齢雇用継続給付との合計額が支給限度額を超えるときは、支給限度額からその賃金を差し引いた分が支給されます。

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